20代、30代、40代から認知症を予防するには?
20代、30代、40代から認知症を予防するにはどうすれば良いのでしょうか?
近年、65歳以下でも認知症が発症するという「若年性認知症」が大きな社会問題として取り上げられるようになってきました。
しかし、なぜ20代・30代・40代・50代でも「若年性認知症」と呼ばれる症状に悩まされる方が増加の一途をたどるようになったのでしょうか?
もちろん、若くても物忘れをする経験は時々あると思います。私自身、30代ですが、忙しい時など、物忘れをすることは多々あります。
ですが、認知症を考えていくうえで注意しなければいけないのは、「認知症」とは病名ではないということです。
例えば、山嶋哲盛氏は「「認知症」とは病名ではなく、記憶障害、見当識障害、理解力や判断力、実行力、注意力などの低下により、日常生活やコミュニケーションに支障が出る状態を指します」としています。(『サラダ油をやめれば認知症にならない』)。
また認知症の約63%は「アルツハイマー型認知症」だとされていますが、「認知症の大半は加齢に伴って生じる「血管の老化」が原因である可能性が高い」と述べています。
さらに山嶋氏は「認知症になりたくなければ、「予防」に力をいれるしか」ないと述べています。
30代、40代、50代から認知症を予防するために大切な三つのこと。
したがって、この記事では、20代から50~60代まで食事で認知症を予防するために大切なこととして、三つのことを取りあげたいと思います。その三つとは、以下の通りです。
- 油の摂り方
- ゆるやかな糖質制限
- 腸内環境の改善
まず、山嶋哲盛氏は、認知症の予防策には「サラダ油をやめること」が大切だと述べています。
では、なぜサラダ油が認知症の原因になるのかといえば、その理由は、高温で加熱されたサラダ油に含まれる「ヒドロキシノネナール」という毒性物質が、神経細胞を死なせてしまうからです。
これまではタンパク質のゴミである「アミロイドβ」の蓄積が認知症を引き起こすと言われてきました。
しかし山嶋哲盛氏は、必ずしも「アミロイドβ」が認知症発症の原因ではないのではないかと仮説をたて、代わりにサラダ油を摂ることで発生する「ヒドロキシノネナール」という毒性物質が、認知症発症の根本原因かもしれないと推測しています。
サラダ油に含まれる「ヒドロキシノネナール」のおそろしさとは?
サラダ油にはリノール酸が含まれていることはよく知られています。このリノール酸が200℃前後に加熱されると、「ヒドロキシノネナール」が急激に増加します。
そしてこの「ヒドロキシノネナール」は、おそろしいことに、血液中に取り込まれて体内に拡散し、脳内に蓄積してしまうと、結果的に神経細胞をサビつかせたり死なせたりしてしまうのです。
また、そのことによって、脳内の神経細胞同士のネットワークに悪影響を与えるのです。そして物忘れや注意力の低下が頻繁に起こるようになるのです。
①サラダ油の摂取
↓
②体内とくに脳内にヒドロキシノネナールが蓄積する
↓
③ヒドロキシノネナールによって神経細胞の生存に必須の「熱ショックタンパク質70」が、特殊な酸化損傷(カルボニル化)を受ける
↓
④熱ショックタンパク質70はカルパインによって分解されやすくなる
↓
⑤熱ショックタンパク質70が激減して、リソソーム膜が破れ、神経細胞が死んでいく(山嶋哲盛『サラダ油をやめれば認知症にならない』 p37)
つまり、分かりやすくいえば、サラダ油の主成分であるリノール酸が高温で加熱されると急激に増える「ヒドロキシノネナール」という毒性の物質が、神経細胞を死なせてしまう原因になるということなのです。
そしてこのことは脳の神経細胞の働きを劣化させるだけではなく、神経細胞同士のネットワークを遮断することにもつながるため、認知症・アルツハイマー病発症の大きな要因である可能性が高いと考えられます。
20代・30代・40代から認知症を予防するにはDHAの摂取が大切
したがって、20代・30代・40代から認知症を予防するためには、日頃の食事の中での油の摂り方に気をつける必要があると言えます。
特に大切なのは「サラダ油」の摂取をなるべく控えることです。
「ヒドロキシノネナール」の大量に発生したサラダ油は、コンビニやスーパーで売られているカップラーメンやお菓子といった加工食品や、揚げ物、お弁当などに多く含まれています。
また、ファミレスやファーストフード店でも、サラダ油は安価であるという理由から大量に使われている可能性は高いです。
その「ヒドロキシノネナール」が知らない間にジワジワと私たちの脳の神経細胞を蝕んでいる可能性があります。このことは20代から30代、40代、50代でも若年性認知症を発症する方が増加の一途をたどる大きな要因だと思われます。
それに加え、サラダ油には細胞のスムーズな新陳代謝を妨げる「トランス脂肪酸」も含まれています。一般的に「トランス脂肪酸」はマーガリンに多く含まれているとされていますが、植物油を精製する際にも発生するため、サラダ油にも含まれているのです。
しかし油は私たちの60兆個の細胞の細胞膜を形成するなど、体にとって必要不可欠な栄養素であるため、摂らなくても良いというわけではありません。
また人間の脳の6割は脂質で出来ていると言われています。
そして、油には様々な種類がありますが、脳の細胞の健康を維持するのに大切なのはやはりオメガ3不飽和脂肪酸のひとつである「DHA」であると思われます。
実は脳の4割はこのDHAで構成されていると言われています。
このDHAを含むオメガ3脂肪酸の働きや効果については、以下の通りです。
- 血中の中性脂肪値を下げ、HDL(善玉コレステロール)値を上げる
- 血液の粘度を下げる
- 摂り過ぎると、出血しやすくなることもある
- アレルギー症状をやわらげる
- 動脈硬化を抑制する
- 脳神経の発育や機能を維持し活性化する
- 血栓が作られるのを防止する
- 大腸ガン、乳ガン、肺ガンなどの予防と進行阻止・免疫力を高める
- 細胞膜、ホルモンを作る (南清貴『究極の食』より抜粋)
認知症を予防するための対策は日頃からDHAを摂るようにすること
つまり、DHAは脳の神経細胞の健康維持に欠かせないのですが、問題なのは「DHA」はサバやイワシなどの青魚に特に多く含まれているということなのです。
そのため、毎日青魚を食べているという方は、DHAの不足を心配する必要はありませんが、青魚を毎日食べるのは難しいという方も多くいらっしゃると思われます。
しかし普段から青魚を食べる習慣がほとんどなく、特に油の摂り方にも気をつけていないという方は、慢性的なDHA不足に陥っている可能性があります。
「DHA」は1日の1000mg程度摂る必要があると言われています。
そのため、普段の生活でDHAを十分に摂れていないという方には、「DHA」をサプリメントで摂取したり、サラダ油を摂る代わりに亜麻仁油やえごま油など、α‐リノレン酸が体内でDHAに変換される油を使ったりすることをオススメします。
また、サプリメントを利用すれば、手軽に十分な量のDHAを摂取できます。
さらに亜麻仁油やえごま油は、DHAに変換される量はそれほど多くないとされていますが、慢性的なDHA不足を少しでも解消するのを助けてくれます。
認知症は一度発症してしまうと、その症状を回復に向かわせるのは難しいと言われているため、20代、30代、40代など、若いうちから「予防」の意味もかねてDHAを摂り続けていくことが大切なのです。
そしてそのことが20代、30代、40代からの認知症の発症を遅らせることにつながるのです。
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腸内フローラの改善も認知症の予防対策には効果的
また、腸内細菌の集まりである「腸内フローラ(腸内細菌叢)」を改善していくことも認知症の予防対策には効果的です。
近年、「脳腸相関」「セカンドブレイン」といった言葉が示す通り、腸内環境と脳の健康は密接な関わりがあります。
それに加え、腸内フローラを構成している腸内細菌には認知症の予防と関連があるビタミンB群やGABAを生産する働きがあるとされているため、腸内細菌のバランスを保つための腸内フローラ改善を行うことは、20代・30代・40代からの認知症予防対策に有効だと考えられます。
白砂糖や人工甘味料を控える「糖質制限」も認知症予防には必要
また、白砂糖や果糖ブドウ液糖などの人工甘味料を極力控える「糖質制限」も、20代・30代・40代からアルツハイマー型認知症を予防していくためには必要です。
特に糖尿病と認知症の発症は隣り合わせだとされているため、普段の食事において、急激に血糖値を上げたり、血糖値の乱高下を引き起こす糖分の摂取を気をつけることで、糖尿病を予防していくことは、そのままアルツハイマー型認知症を防ぐことにもつながっていきます。
・不規則な生活習慣と食習慣、運動不足、短い睡眠時間、喫煙
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・インスリン抵抗性の増大
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・糖尿病
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・インスリン抵抗性のさらなる増大による脳内のβアミロイド・タンパクの蓄積
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・脳の表面の老人斑の出現
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・5~10年後に、脳の内部にリン酸化タウの蓄積
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・3~5年後に、軽度認知障害(MCI)の発症
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・数年後にアルツハイマー病を発症
(森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』p72~73)
さらに20代・30代・40代からアルツハイマー型認知症を予防していくためには、ファーストフードなどに多く含まれている終末糖化産物「AGE」(AGEs)の摂りすぎにも注意が必要です。
また、食事以外にも、適度な運動や十分な睡眠、瞑想などを行う生活習慣をもつことも、20代、30代、40代、50代からの認知症の予防のためには大切です。
20代から50代までに大切な認知症予防のための三つの生活習慣。