20代・30代・40代からの認知症予防対策

認知症を予防するための対策は20代・30代・40代からが大切です。

腸内フローラ改善が認知症を予防する理由とは?

20代・30代・40代から多様な腸内細菌の集まりである腸内フローラを改善することは、認知症の予防につながってきます。

なぜなら腸内細菌や腸内環境の状態は脳の健康と密接な関わりがあるからです

一般的に腸は「第二の脳(セカンド・ブレイン)」と呼ばれますが、生命の発達段階においては、脳よりも先に腸が出来ているため、腸を「第一の脳」だと考えている研究者もいます。

例えば、理化学研究所の辨野義己氏は以下のように述べています。

 

 腸には、多数の神経細胞が存在します。腸の神経細胞の数は大脳の次に多く、ほかの神経細胞を全部合わせたよりもたくさんです。腸管の周りを神経細胞がびっしりと取り囲んでいて、神経細胞のネットワークを作っています。

 腸神経系は、腸内を通る物質の情報をキャッチして腸全体や他の臓器に伝達し、病原微生物をやっつけたり、食事量に合わせて代謝をコントロールしていると考えられます。そのため、「腸は第2の脳」ともいわれています。

 でも、私は腸の方こそ第1の脳だろうと思います。

辨野義己『腸を整えれば病気にならない』 p104

 

また腸と脳は情報の伝達をし合っているだけではなく、腸内細菌は幸福感を高めるセロトニンや、やる気に関わるドーパミンの生成にも関係しているため、腸内細菌の集まりである腸内フローラを改善することは、心の健康を維持することにもつながっていきます。

このことに関して辨野義己氏は、

 

 現在、うつ病認知症では向精神薬がよく処方されています。しかし、向精神薬は副作用で便秘を起こすものが多いことが気がかりです。便秘で腸内環境が悪化すると、かえって脳に悪影響を及ぼす可能性があるからです。よかれと思って飲んだ薬のせいで、腸内フローラの状態が悪くなれば、それが脳内の化学物質のバランスを崩して、うつ病が悪化するということが、あり得ます。腸内環境を悪化させないように、向精神薬は慎重に処方されるべきだと思います。

辨野義己『腸を整えれば病気にならない』 p106~107

 

としています。

 

認知症予防

腸内細菌のバランスを整えることは認知症予防に効果的

2016年3月19日のTV放送「世界ふしぎ発見」の腸内細菌特集でも触れていましたが、乳酸菌などによって腸内細菌のバランスを整えていくことは、うつ病認知症の予防に効果的だと考えられるのです。

実際、腸内環境が悪化した状態だと、体調そのものが優れなくなるため、心にも影響して気分が落ち込みやすくなることが十分考えられます。

また、認知症を患っている方の多くは便秘の傾向があり、悪玉菌が優勢になっていることが多いとされています。

さらにうつ病認知症は無関係ではなく、うつの傾向がある場合は、若年性認知症の発症リスクが高まることが指摘されるようになってきています。

腸内フローラの改善が認知症予防につながる

したがって、20代・30代・40代から認知症を予防していくためには、腸内細菌の集まりである腸内フローラを改善していくことが重要なのです。

その腸内フローラの改善とは具体的には、腸内細菌のバランスを、理想的だとされる「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」に整えていくことを意味します。

ちなみに腸内フローラを改善するための方法としては以下があります。

 

  • プレバイオティクス・・・食物繊維オリゴ糖など、腸内細菌のエサになる栄養成分を送り込んで善玉菌の増殖を促す方法。またはそのための食品。
  • プロバイオティクス・・・腸に乳酸菌などの体に良い影響をもたらす菌を直接送り込むことで腸内細菌のバランスを整える方法。またはそのための食品。
  • シンバイオティクス・・・「プレバイオティクス」と「プロバイオティクス」を融合させた腸内フローラ改善方法
  • バイオジェニックス・・・乳酸菌生成エキスやポリフェノールといった「プレバイオティクス」と「プロバイオティクス」の定義からこぼれ落ちた栄養成分を幅広く摂取することで、腸内フローラを改善していく方法。

 

参考「腸内フローラを改善する方法―腸内フローラ改善生活

 

腸内フローラを改善するためには、日頃から乳酸菌や食物繊維オリゴ糖といった腸内細菌を増やす栄養成分がたくさん含まれた食材を摂るようにすることが大切です。

具体的には、野菜や果物、納豆や漬け物などの発酵食品、海藻類、雑穀類、豆類といった食材です。

それに加え、「乳酸菌発酵エキス」など、「乳酸菌生産物質」と呼ばれる、大豆などの発酵によって生じた乳酸菌の代謝物も、腸内細菌を増やして腸内環境を改善するのに役立ちます。

特に腸内細菌はビタミンB6をはじめとしたビタミンB群を作り出す働きがあるため、「セロトニン」や「ドーパミン」といった脳内神経伝達物質の合成に関わっています。

また、精神を落ち着かせる働きがある「GABA」の生成にも腸内細菌は関係していると言われています。

そのため、「プレバイオティクス」や「プロバイオティクス」によって腸内細菌のバランスを整えることが、認知症予防のための近道だと考えられるのです。

ちなみに近年は手軽に腸内フローラの改善が出来るよう、乳酸菌と食物繊維が含まれたサプリメントや、腸内細菌のバランスを整えて腸内環境を改善するのに効果的な乳酸菌発酵エキスが含まれたサプリメントも、多く販売されるようになってきています。