20代・30代・40代からの認知症予防対策

認知症を予防するための対策は20代・30代・40代からが大切です。

AGEsが認知症の原因になる理由とは?

当ブログでは20代、30代、40代から若年性の認知症を予防するには、どうすれば良いのか、その方法を探っていますが、前回の記事で取り上げたデイヴィッド・パールマター氏の『「いつものパン」があなたを殺す』を読んでいると、「AGEs」と呼ばれるものが、どうやら認知症と関係していることが、分かってきます。

 

日本でも「AGEs」は老化を促す原因だとして注目されていますが、その「AGEs」とは、糖化反応によって形成される「終末糖化産物」のことだと言います。

 

 糖化反応とは、糖分子がタンパク質、脂肪、アミノ酸に結合することを意味する生化学用語だ。糖分子自身が結合し、自然発生的に起こる反応で、メイラード反応と呼ばれることもある。

(中略)

 このプロセスは終末糖化産物(通例、AGEsと略記される)を形成し、このAGEsによってタンパク質の繊維がゆがめられ、硬くなってしまう。

 年相応に老化しているヒト、つまりシワやたるみ、肌の変色があり、また加齢によって輝きが失われた人を見ると、AGEsの作用がわかる。その身体的影響は裏切り者である糖と手を組んだタンパク質によるものであって、AGEsが肌の老化において重要な役割を果たしている理由の説明にもなる。(デイヴィッド・パールマター『「いつものパン」があなたを殺す』白澤卓二訳 p179~180

 

 糖化反応は、生命にとって不可避な代謝や基本的な老化のプロセスの産物である。

 最近では糖分子とタンパク質の結合を利用して、糖化反応がどれだけ進んでいるかを計測することすら可能だ。

(中略)

 脳と体のアンチエイジングの目的は糖化反応を制限するか、遅らせることは明らかだ。実際に、アンチエイジングの計画の多くは、現在、どのように糖化反応を軽減し、ひいては有毒な結合を解消させようとするのかに注目している。しかし、高炭水化物の食事をしていながらではそれは実現できない。炭水化物の食事によって糖化反応のスピードは増すからだ。

 とくに糖質は糖化反応を急速に促進する。というのも、糖質は体内のタンパク質とたやすく結合するからだ(ちなみに、アメリカにおいて、食事のカロリー源のナンバーワンは異性化糖だ。これは糖化反応の速さを一〇倍に上げる)。(デイヴィッド・パールマター『「いつものパン」があなたを殺す』白澤卓二訳 p180~181

 

 タンパク質が糖化すると、少なくとも二つの重要な事態が起きる。

 まず、糖化したタンパク質の機能はにぶくなる。次に、タンパク質はいったん糖と結合すると、同様にダメージを受けたほかのタンパク質とも結びつき、この結合によってますます機能は低下する。

 おそらくもっと重要なのは、タンパク質はいったん糖化されるとフリーラジカルの産生が大幅に増え、これをきっかけに組織は破壊され、脂肪、そのほかのタンパク質、DNAさえもダメージを受けるということである。

 困ったことに、タンパク質の糖化反応そのものは代謝の正常なプロセスであるにもかかわらず、度を超すと多くの問題が持ち上がる。

 糖化反応の度合いが高まると、認知低下のほか、腎臓疾患、糖尿病、血管疾患、それにいま述べたような老化自体の実際のプロセスにも結びつくのだ。

 体内のどんなタンパク質でもこの糖化プロセスは避けられず、AGEsになり得る。だからこそ、世界中の医学研究者は薬物を用いてAGEsの形成を軽減するさまざまな方法を、懸命になって開発しようとしているのだ。しかし、AGEsを形成させない一番の方法は何より、AGEsの形成に使える糖質を減らすことであるのは明らかだ。(デイヴィッド・パールマター『「いつものパン」があなたを殺す』白澤卓二訳 p181~182

AGEsとアルツハイマー型認知症の関係

 AGEsとアルツハイマー認知症の関係とは?

さらにデイビッド・パールマター氏は、『「いつものパン」があなたを殺す』のなかで「脳にダメージを与えたくないなら、「糖化」を防げ」として、以下のように述べています。

 

 AGEsは、炎症がもたらすダメージの原因となるだけではなく、血管に対するダメージも伴い、さらには糖尿病と血管にかかわる問題にもつながる。

 冠動脈性心疾患や脳卒中のリスクが糖尿病では大幅に増えるのだ。糖尿病を抱える多くの人は脳に血管を供給する血管にかなりのダメージを受けている。その血液供給の問題が原因となり、アルツハイマー病ではなくても認知症に苦しむ可能性がある。

 先に、LDL、いわゆる悪玉コレステロールは、脳に欠くのできないコレステロールを運ぶ大切な運搬体のタンパク質であると説明した。このLDLは酸化されるときにかぎって血管を破壊する。加えてタンパク質であるLDLは糖化されるとき、劇的に酸化を増大するのだ。

 酸化ストレスと糖質は明らかに結びついている。タンパク質が糖化されると、産生されるフリーラジカルの量は五〇倍に増え、これがきっかけで細胞の機能を失われ、結果的に細胞は死んでしまう。

 悲しいことに、アルツハイマー病、パーキンソン病ルー・ゲーリッグ病のような深刻な神経障害の診断が下されるまでにすでにダメージは生じている。つまり、脳に損傷を与える酸化ストレスの活動を軽減したいなら、糖化に利用される糖質を減らさなくてはならない。(デイヴィッド・パールマター『「いつものパン」があなたを殺す』白澤卓二訳 p182~183

 

デイヴィッド・パールマター氏は「AGEs」とアルツハイマー病の関係性について、このように述べています。

 

つまり、若いうちからアルツハイマー認知症を予防するためには、この終末糖化産物である「AGEs」が形成されないよう、適度に糖質を減らしていくことが、重要になってくると考えられるのです。

 

当ブログでは、体調を崩すほどの過剰な糖質制限を推奨するわけではありませんが、白砂糖や異性化糖が大量に含まれた甘い物を食べ過ぎるのは、やはり、認知症を予防し、脳の健康を維持していくためには、良くないと言えそうです。

 

AGEsと認知症

 

また、腸内細菌の集まりである腸内フローラにとっても、白砂糖は良くないとされているため、脳だけではなく、腸の健康のためにも、白砂糖や人工甘味料異性化糖、果糖ブドウ糖液糖など)が含まれた甘い物の摂りすぎには気をつけたほうが良いと思われます。

 

砂糖に関しては以前も、「白砂糖やブドウ糖の摂りすぎがアルツハイマー型認知症を引き起こす?」という記事で、白砂糖の代わりにオリゴ糖を摂ることをおすすめしましたが、砂糖の代わりにオリゴ糖や低GI値のココナッツシュガーなどを摂るようにすることが20代、30代、40代からの若年性認知症予防対策につながっていくと考えられます。