糖尿病がアルツハイマー型認知症の原因になる理由
当ブログでは20代・30代・40代から認知症を予防するためにはどうすれば良いか、その方法について考えていますが、この記事では「糖尿病がアルツハイマー型認知症の原因になる理由」について書いていこうと思います。
前回と前々回の記事で、アルツハイマー型認知症と、終末糖化産物「AGE」や糖尿病との関連性について書きましたが、どうやら糖尿病はアルツハイマー型認知症の発症と深い関係があると言えそうです。
そのため、20代・30代・40代から50代にかけて、(若年性)認知症を予防していくためには、油の摂り方を気をつけたり、腸内細菌の集まりである腸内フローラを改善したりすると共に、糖尿病にならないよう「糖質制限」を行っていくことが一つの鍵になりそうです。
『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』(森下竜一・桐山秀樹 著)には、一見無関係に見えるアルツハイマーと糖尿病の関係性について述べられています。少し長いですが、そのくだりを引用してみることにします。
なぜ、一見、無関係に思われるアルツハイマー病と糖尿病が、その発症原因を同じくしているのか。
その「謎」を解く鍵のひとつとなるのが、βアミロイド(アミロイドβと記すことも)というタンパク質の存在である。
アルツハイマー病は、老年になるにつれて、脳細胞にこのβアミロイドが沈着することによって起こると考えられている。
(略)βアミロイドというタンパク質は、若い頃から誰にでもたまる。
それを日々、分解して体外に排出しているのが、インスリン分解酵素である。
本来はインスリンを分解するインスリン分解酵素だが、実はいろいろな物質を分解しており、インスリンが少ないときには、他の物質を分解している。その中のひとつがβアミロイドなのだ。(森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』p21~22)
人間は、食事をして、主要エネルギー源となる炭水化物を大量に摂ると、血液中にグルコース(糖)があふれて、いわゆる高血糖状態になる。この血液中の糖を筋肉細胞に取り込んで、体を動かすエネルギー源に変えるのが、膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンというホルモンである。
ところが、中年になって腹囲に内臓脂肪がたまると、インスリンがなかなか効きにくい状態になる。これを「インスリン抵抗性」と呼ぶ。
インスリンが効きにくくなって、高血糖の状態が続くと、血管内が損傷されるなどして危険なため、血糖を下げる目的でインスリンがさらに大量に分泌される。この結果、血液中が高インスリン状態になってしまうわけだ。
そして、普段なら脳にたまったβアミロイドも分解するインスリン分解酵素が、脳にあふれたインスリンを分解するので手一杯になってしまう。(森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』p22~23)
その結果、本来ならインスリン分解酵素によって分解、排出される脳内のβアミロイドが、次第に沈着していき、ひいては、メタボから糖尿病、糖尿病からアルツハイマー病を発症してしまうことになる。
これが「アルツハイマー病=糖尿病」説だ。遺伝によって起こるⅠ型、あるいはメタボなどの生活習慣によって起こるⅡ型と比較して、やはり生活習慣を原因として脳内に起こることから、アルツハイマー病を「Ⅲ型糖尿病」、あるいは「脳の糖尿病」とも呼ぶようになってきた。(森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』p23)
アルツハイマー型認知症の予防には「糖質制限」が大切
このように森下竜一・桐山秀樹氏による『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』の中で、アルツハイマーと糖尿病の関係性について述べられています。
つまり、糖尿病になってしまうと、一般的にアルツハイマー型認知症の原因とされるβアミロイドがインスリン分解酵素によって分解されにくくなるため、βアミロイドが沈着しやすくなってしまうというわけです。
また『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』のなかで森下氏らは、
アルツハイマー病が、もし「脳の糖尿病」であるならば、糖尿病にかかった初期の段階で、それ以上進行しないように、原因となる生活習慣を改善しておく必要がある。すると、糖尿病が悪化しないだけでなく、将来、アルツハイマー病にかかる危険性も減少する。
分かりやすくいえば、糖尿病にかからないようにしておけば、アルツハイマー病にはかかりにくくなる。あるいは、糖尿病とアルツハイマー病は、かかる原因が同じだということだ。(森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』p23~24』)
としています。
そのため、これからアルツハイマー型認知症を予防していくためには、日頃から食事に気をつけ、必要以上に人工甘味料や白砂糖など、血糖値を急上昇させる糖質を摂らないような「糖質制限」を行う工夫が必要になってくると考えられるのです。