20代・30代・40代からの認知症予防対策

認知症を予防するための対策は20代・30代・40代からが大切です。

糖質制限がアルツハイマー型認知症の予防対策に必要な理由

この記事では「糖質制限アルツハイマー認知症の予防対策に必要な理由」について書いていきたいと思います。

前回の記事では糖尿病とアルツハイマー認知症の発症の関係について述べましたが、20代・30代・40代から認知症を予防していくためには「糖質制限」が必須であるように感じられます。

 

糖質制限」と聞くと、「糖質ゼロは危険だ」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この記事で述べようとしている「糖質制限」は、血糖値の急上昇や乱高下を防ぎ、糖尿病やアルツハイマー認知症の発症を防ぐために必要なことだと考えていただきたいと思います。

その「糖質制限」のメカニズムについて、『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』(森下竜一・桐山秀樹 著)の中で、以下のように述べられていますので、参考にしてみてください。

 

 糖質制限のメカニズムは、シンプルである。

 人間の三大栄養素と呼ばれる糖質、タンパク質、脂質のうち、血糖値を上昇させるのは、基本的に糖質のみ。特に白いごはん、白いパン、精製した「白い炭水化物」を短時間にドカ食いするスタイルで摂ってしまうと、血糖値が急上昇する。そのままでは危険なので、それを降下させるため、膵臓からインスリンの追加分泌が大量に起こる。

 また、1日3日の食事に加えて、間食やおやつなどで間断なく糖質を摂り続けると、その都度、血糖値が上昇し、それを降下させるたびにインスリンが分泌される。その際、血管内では、グルコース・スパイクと呼ばれる激しい血糖値の乱高下が起こり、高血糖状態が続くことで、血管内の内皮が傷つけられる。傷口にふたをするために、血栓が付着して、動脈硬化などの原因となっていく。森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』p77)

 

 糖質の過剰摂取→血糖値の上昇→インスリンの追加分泌の連続→皮下脂肪・内臓脂肪が腹囲に蓄積→インスリン抵抗性の増大→インスリンの分泌し続ける膵臓の疲弊→血液中の血糖値の日常的な上昇→高血圧、脂質異常症、糖尿病の発症→そして脳内のβアミロイドの蓄積――。

 こうした「負の連鎖」によって、最後は糖尿病からアルツハイマー病の発症に至る。それを断ち切ってくれるのが糖質制限なのである。(森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』p77~78)

 

 糖質摂取を最小限に抑えれば、血糖値の急上昇もなくなる。それを降下させるためのインスリンの追加分泌も行われなくなる。

 その結果、内臓脂肪としてお腹周りに蓄積されなくなる。

 それどころか、すでにお腹周りについた内臓脂肪が急激に取れていく。

 だから、糖質制限を始めるとお腹周りがみるみるスッキリしてくるのだ。

 内臓脂肪は、付きやすい代わりに、落ちやすい。だから糖質制限するとすぐに落ちていく。これに対して、女性に多い皮下脂肪は、母体を守るために蓄えられている、したがって、糖質制限は、どちらかといえば男性のほうが減量しやすいのだ。

 しかし、女性でも半年とか少し時間をかけて糖質制限に取り組めば、人によっては10kg、20kgと痩せることができる。(森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』p78~79)

 

f:id:yansaturn0305:20160630210955j:plain

糖質制限を行う際の注意点は?

また、『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』の中で、糖質制限を行う際の注意点として以下のように述べられています。

 

 ただし、糖質制限を行う間は、糖質に代わってタンパク質、良質の脂質を以前より多めに摂らないと、エネルギー源が枯渇してフラフラになって危険だ。

 例えば、新鮮な肉、魚、卵、豆類をタップリと摂り、肉や魚と同時に食物繊維を摂って腸内環境もよくしておくことが必要だ。

 糖質制限は、主食の代わりに肉や魚をいくらでも食べていいと勘違いされるが、物事には全てプラスとマイナスの側面がある。糖質をせっかく制限しても、肉の脂身やバターなど「飽和脂肪酸」と呼ばれる質の悪い脂質ばかり摂っていては、せっかくの糖質制限も効果が半減してしまう。

 そのためにも、脂身はできるだけ控えるようにし、牛や豚の赤身や鶏などの肉類を以前より多く食べ、食物繊維の豊富や野菜をまず先にタップリと食べる。(森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』p80~81)

 

 こうして糖質制限によってメタボから短期間で脱出し、血糖値を下げて、糖尿病のリスクも減らしておく。その結果、インスリン抵抗性も低くなり、アルツハイマー病を引き起こすβアミロイドの蓄積も食い止められる。

 世の中、あれもこれも同時に行おうとすると必ず失敗する。まずは、一定期間、厳しめの糖質制限を徹底することで、メタボから短期間で脱出し、血糖値も下げて、糖尿病のリスクを軽減しておくのがいいだろう。(森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』p82~83)

 

上記の引用文でも述べられていますが、「糖質制限」の注意点としては、まず第一に、「糖質制限」をする代わりに、後は好きなだけ肉を食べてもOKというわけではないということが挙げられます。

 

冒頭でも述べましたが、この記事で述べている「糖質制限」は、血糖値の急上昇や乱高下を防ぎ、糖尿病やアルツハイマー認知症の発症を防ぐことが目的ですので、「糖質制限」をする分、代わりに糖質が含まれない食品を好きなだけ食べても良いというわけではないのです。

認知症の予防対策のための糖質制限は出来る範囲から

また普段から甘い物を好んで食べているにも関わらず、最初からストイックな「糖質制限」を行うこともあまりオススメできません。

なぜなら最初からあまり無理をしてしまうと、結局、途中であきらめてしまいがちになるからです。さらに口にする食べ物に対して神経質になりすぎることが、からだに対して下手に悪影響を与えてしまうことも考えられます。

 

そのため、20代・30代・40代から認知症を予防していくためにはまず、からだにとって必要な糖質はしっかりと摂取しつつ、自分の出来る範囲で、白砂糖や果糖ブドウ糖液糖、人工甘味料、終末糖化産物「AGE」(AGEs)などを食生活から減らしてくことが必要になってくるように思われます。

 

ちなみに「糖質」とは炭水化物から難消化性の繊維質を取り除いたもののことを指します。

つまり、「糖質=炭水化物」ではなく、「正しい糖質制限」とは、決して炭水化物を食事から全て除去してしまうことではないのです。

炭水化物には食物繊維やオリゴ糖など、腸内細菌のエサになり、腸内フローラの改善に欠かせない栄養成分も含まれてきますので、そのことを踏まえた上で糖質制限を行っていくこともからだの脳の調子を健康的に維持するうえで大切になってきます。

 

特にオリゴ糖を砂糖の替わりに摂るようにすることは、アルツハイマー認知症の予防のためにおすすめです。

以上のことを踏まえつつ、20代・30代・40代の若いうちから認知症を予防していくために、ぜひ、出来る範囲で糖質制限を始めてみてください。

 

参考文献

森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』 青春出版社

鬼頭昭三・新郷明子『アルツハイマー病は「脳の糖尿病」』 講談社

夏井睦『炭水化物が人類を滅ぼす』光文社

山田悟『糖質制限の真実』 幻冬舎

江部康二『人類最強の「糖質制限」論』SBクリエイティブ

生田哲『砂糖をやめればうつにならない』角川書店
 

30ninchishouyobou.hatenablog.com